平成18年の新会社法施行以前は、日本国内ではなく海外、特にアメリカで会社設立を行う日本人が存在しました。

だいたい年間2千件~3千件くらい、日本人による海外の会社設立は行われていたようです。

 

その理由は最低資本金制度です。

平成18年以前は日本国内で会社設立する場合、株式会社で1千万円、有限会社で3百万円という多額の資本金を用意する必要がありました。

一方、アメリカにおいては1950年代に最低資本金制度が撤廃されました。

さらにアメリカの多くの州においては、非居住者であっても会社設立を行うことが可能です。

そのため、今すぐ会社設立したい、でも資本金は用意できない、という方のために海外での会社設立というニーズが存在したわけです。

 

ところが平成18年の新会社法は最低資本金の規制を完全に撤廃したため、日本国内でも会社設立にあたって多額の資本金を用意する必要はなくなりました。

 

それからもう一つ、会社設立費用がアメリカのほうが安いという理由があります。

例えば株式会社設立に際して、日本では15万円の登録免許税がかかりますが、アメリカでは9万円です。

 

一方でアメリカでの会社設立には相当の困難が伴います。

たいていの場合は代行業者を利用されるでしょう。代行業者の手数料は十数万円です。

一方、日本では競争の激化から多くの代行業者、各種士業がほとんど無料同然で会社設立を請け負っています。

法的費用と業者手数料を合算して考えれば、むしろ国内での会社設立がお得になります。

さらに新会社法で新たにできた合同会社という仕組みなら、登録免許税は6万円で済むのです。

以上を考えれば、資金面で海外での会社設立メリットはほぼ無いと言えるでしょう。