それでは現在、どのような場合にアメリカでの会社設立が行われるのでしょうか?

それは実際にアメリカで、あるいはアメリカと日本の双方での事業を行う場合ということになるでしょう。

 

アメリカで会社設立して両国で事業を行う場合、まずアメリカでも州法や税制の仕組みが有利な州(デラウェア州やネバダ州)で会社設立を行い、その後日本の法務局で支店登記を行うことが多いようです。

 

この場合の注意点やデメリットを簡単にまとめておきましょう。

 

1、登記が必要(登録免許税がかかる)

海外法人が日本国内で活動するためには、支店(営業所)を国内に設けてそれを登記する必要があります。その登記のため登録免許税が6万円程度かかります。

 

2、日本における代表者を定める必要がある

国内での支店登記、営業活動のためには日本国内における代表者を一人定める必要があります。またこの代表者は日本に住所を有する者でなければなりません。

 

3、更新登記が毎年必要である

日本法人の場合、新会社法では取締役の任期が最長10年となったことから、会社設立後10年間は登記手続きが不要、費用もかからないようにすることが可能です。

しかしアメリカの法人は毎年更新登記が必要になりますので、その手数料がかかります。

 

4、日米両国で税務手続きが必要

アメリカの本店と日本の支店の両方で売上が発生すれば、原則として両国で申告の手続きを行い、納税が必要となります。一方で納付した税金を、もう一方で控除するという少し複雑な処理も発生します。

 

5、公的機関からの融資は不可

日本政策金融公庫、信用保証協会などの公的金融機関は、基本的に海外法人への融資は行いませんので、借入を希望する場合は通常の日本法人として会社設立したほうがよいでしょう。