会社設立は起業される方がお一人で全株を引き受け、そのまま代表取締役に就任するパターンが大半です。このような会社を一人オーナー会社などと呼びます。
会社設立でこのパターンが多く見られるようになったのは、平成18年の新会社法で最低資本金規制がなくなったからです。
それまでは株式会社設立の場合、資本金は最低1千万円が必要でしたからお一人ではなかなか準備することが難しく、家族や親戚、友人などに出資を仰ぐ例が多く見られました。
一方、今でも代表者を含めた複数人の株主でスタートする会社も見られます。
いくら最低資本金規制がなくなったと言えども、会社を立ち上げて軌道に乗せるまでには、
業種の差はあれ、それなりの資金が必要です。
借入という手段もありますが、返済の必要がない資本金で用意できればそれに勝るものはありません。
ただ注意しなければならないのは、第三者の出資を受け入れた場合、その第三者には出資割合に応じて一定の権利が発生するということです。
株式をどれだけ保有すればその株主はどのような権利を有するのか、主なものを挙げておきましょう。
1、発行済株式の100%を保有
そのうえで代表取締役に就任すれば、その会社ではいわば神様になります。
全てを自分の意志で決定することが可能です。
2、発行済株式の2/3以上を保有
株主総会の特別決議が可能になります。特別決議とは定款の変更、取締役の解任、合併や解散など非常に重要な事柄を決める決議です。
中小企業オーナーの場合は、できる限りこの2/3以上を保有すべきでしょう。
3、発行済株式の1/2超を保有
株主総会の普通決議が可能になります。過半数なら一応その会社で一番権力を有する人です。
但し上記の2/3以上株主と異なり、特別決議は単独で通せませんから絶対的権力とは言えません。
4、発行済株式の1/3以上を保有
上記2の裏返しになりますが、1/3以上を保有すれば特別決議を単独で阻止することが可能です。
1/3以上保有する株主についてはオーナーは会社運営にあたり相当意識する必要があるでしょう。
5、発行済株式の3%以上を保有
株主総会の召集、帳簿の閲覧ができます。この帳簿の閲覧はオーナーにとっては相当の脅威です。
帳簿とは会社のほとんど全ての経理関係資料を指しますので、日ごろどのような経営がなされているか丸わかりになります。
6、発行済株式の1%以上を保有
株主総会における議案提出権が認められます。
会社においてはたくさん株式を保有している人、つまりたくさんお金を出している人が偉い人です。
株式を10%しか保有しない代表取締役Aさんと、役職についていないが株式を90%保有しているBさんがいる場合、Bさんのほうが強い立場にあると言って良いでしょう。
ただ上述の通り、少数株主でもその権利はなかなか軽視できないものがあります。
会社設立において、第三者から出資してもらう場合はこの点を十分にご注意下さい。