さてもう一度、役員報酬に関するルールを見てみましょう。

→役員報酬は年に1回だけしか金額変更ができない。

→金額変更ができる時期も決められている。

→違反すると、役員報酬は会社の経費として認められない。

 

役員報酬は年に1回だけしか金額変更ができない、その時期も決められているという点を詳しく考えていきます。

 

この変更時期ですが、「期首から3か月以内」が大原則になります。

 

例えば4月1日から3月31日までが事業年度のA社で考えてみましょう。

A社は毎月末日に役員報酬を支給しているとします。

 

A社の場合、期首から3か月以内、すなわち4月1日から6月末までの間に役員報酬の

金額を変更できるということですね。

通常、役員報酬を変更する場合は株主総会を開催する必要がありますが、創業段階の会社で

社長が株式を100%保有していれば、株主総会はいつでも機動的に開くことができます。

A社の役員報酬変更は、5月に株主総会開催→5月末支給分から変更でも、

6月に株主総会開催→6月末支給分から変更でも、どちらでもOKというわけです。

 

それでは、会社設立の場合はどうなるでしょうか。

新しく設立したB社のケースで考えてみましょう。

 

B社

・事業年度は4月1日から3月31日まで

・毎月末日に役員報酬を支給する。

・20XX年8月23日に会社設立した。

 

B社も、第2期以降はA社と同様に、期首から3か月以内である4月1日から6月末までが

役員報酬変更時期になりますね。

 

しかし、第1期については、8月23日に会社設立していますから、そもそも4~6月は会社が存在していません。

そうすると、会社設立第1期は役員報酬が支給できないということになるでしょうか。

 

いいえ、ここでも大原則の「期首から3か月以内」が適用されます。

すなわち、第1期は会社設立した8月23日が期首日になりますから、

3か月後の11月22日までに株主総会を開催して役員報酬を決定すればよいのです。

もちろん、時期を早めて9月支給開始でも、10月支給開始でもかまいません。

 

ところで、11月に役員報酬を決定して11月末日に最初の支給を行う場合、

支給日は「期首から3か月以内」を超過していますね。

しかし、法令で定められているのは「3か月以内の変更」であり、「3か月以内の支給」ではありません。

従って、11月22日までに株主総会を開いて役員報酬を決めれば、

支給日が3か月を超過した11月末日でもOK、という考え方になります。