会社から給料をもらうという点では、「社長も、他の役員も、一般従業員も」、皆同じとお伝えしました。

 

その一方、社長の役員報酬と、一般従業員の給料には、大きな違いもあるのです。

役員報酬には従業員とは異なるルールが設けられている、と言い換えても良いでしょう。

 

役員報酬に関する主なルールは以下の通りです。

→役員報酬は年に1回だけしか金額変更ができない。

→金額変更ができる時期も決められている。

→違反すると、役員報酬は会社の経費として認められない。

 

これらのルールは比較的新しく、2006年ごろに定められたものです。

なぜこんなルールが作られているのでしょうか。

 

それは、国税当局に、役員報酬が利益操作に使われてきた、という考え方があるからでしょう。

 

つまり、会社の利益が多い年は役員報酬を引き上げて法人税を節税する、会社の利益が少ない年は

役員報酬を抑制して個人の所得税・住民税負担を減らす...

 

役員報酬について何もルールがない時代は、このような変更を機動的に行うことで、

総合的な税負担を減らすことも可能な面がありました。

 

多くの中小企業では社長が100%株主でもありますから、社長は自分の給料を自由に変えることができます。

国としては、それによる税収減を避けるため、役員報酬についてこのようなルールを定めたと考えられます。

 

なお、上に挙げたルールを満たす役員報酬のことを「定期同額給与」と呼びますので覚えていおいて下さい。

 

会社設立とは、今後社長ご自身が、自らの収入について、こういったルールに従うことになる、

という面もあります。

個人事業と比較して、会社にはどうしても不自由な点、融通が利かない面もあるのです。

 

会社設立するのか、個人事業が良いのか、こういった点も踏まえてご検討いただくと良いでしょう。