これまで、会社設立を行う場合に大きな障壁となってきたのが最低資本金規制です。

株式会社設立の場合は1000万円、有限会社設立の場合は300万円を資本金として準備しなければなりません。

子どもやローンを抱えた働き盛りの年代にとってはなかなか厳しい金額です。

しかしながら会社設立の件数が減少すれば、産業も雇用も創出されず、日本全体の活力が

低下してしまうことは明らかです。

 

そこで経済産業省は起業・会社設立を促すべく、平成15年に確認会社制度を導入しました。

この制度は正確には「株式会社・有限会社の最低資本金等の規制に関する特例」と言い、経済産業省に届出を行えば資本金1円以上で株式会社や有限会社を設立できるものです。

この制度により設立された会社を「確認会社」「確認株式会社」「確認有限会社」と呼び、その制度の仕組みから別名「1円会社」とも呼ばれます。(実際には資本金数万円~数十万円が多く、1円で設立された会社は少なかったようですが)

 

確認会社を設立するための要件は、基本的にこれまで事業を営んでいない個人「創業者」で、

2ヶ月以内に具体的な事業を起こす計画を持っている人です。

 

但し確認会社は毎年、経済産業局に決算書を提出しなければなりません。

更に会社設立から5年以内に1000万円(株式会社)または300万円(有限会社)以上に

資本金を増資しないと、解散するか組織変更しなければならないという制約があるのです。

つまりこの制度は最低資本金の決まりを完全に撤廃するものではなく、5年間の猶予を与えるものと理解したほうがよいでしょう。

 

それでも、とりあえず入り口が広がったことは会社設立を目指す起業家にとって大きなアドバンテージです。

実際この制度は好評で、平成16年~17年にかけて確認会社の会社設立件数は数万件に上りました。

しかし平成18年に新会社法が施行されたことで、確認会社はその役割を終えることになります。