債務引受の仕組みを確認する前に、法人成りで個人事業の借入金を整理するにはどのような方法があるか、
考えられる選択肢を比較しましょう。
1、一括完済
個人の自己資金で全額を繰上げ返済する。
2、借換え
個人の残債額と同額(またはそれ以上)を法人が借り入れ、逆に個人の借入全額を繰上げ返済する。
3、放置
何も手続きしないで、個人が返済し続ける。
4、重畳的債務引受
1と2では個人の借入が消滅しますが、現実にはなかなかこのケースはお目にかかりません。
3の「放置」については、「え!そんなことができるの?」と思われそうです。
しかし、現実の法人成りでは意外とこのケースが多く見られます。
法人成りの前後は多忙を極めますから、債務者が金融機関への報告を怠ることも珍しくありません。
金融機関も人手不足の昨今、債務者からの報告がない限り、なかなか状況を把握できないという事情があります。
しかし、将来的に法人での借入を検討することになれば、個人債務のまま放置していることは
やはり障害となります(たとえ約定通りに返済していても)。
速やかに金融機関へ連絡して、本来の手続きである重畳的債務引受を行うことが望ましいでしょう。