デメリット1 実際の資金面では余裕がない

 

会社に現金が入る金銭出資と異なり、現物出資は会社にお金が入りません。

資本金が500万円でも、そのうち現物出資が400万円であれば、その会社は売上代金が入ってくるまでの間、

100万円でやりくりしなければならないわけです。

現物出資は資金面ではあてになりませんのでご注意下さい。

 

デメリット2 所有権移転の手間と費用がかかる。

 

金銭出資の場合、そのお金は会社設立後、株主の口座から新たに開設した会社名義の口座に振り込みすれば

手続きは終わりとなりますので手間も費用もほとんどかかりません。

今なら自宅のパソコンでも銀行振込は可能ですからね。

 

ところが車や不動産を現物出資した場合は会社設立後にそれらの名義変更、所有権移転の

手続きが必要になります。

車の場合は会社名義の車庫証明取得と、運輸支局での名義変更手続きで手数料は数千円、

手続きも何とか自分でできるかもしれません。

これが不動産ともなりますと、役所に支払う費用(登録免許税と言います)は数万円~数十万円かかりますし手続きも複雑で、

司法書士に依頼すればその手数料も数万円かかります。

 

ところで会社法第34条では以下の通り定めています。

「発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、

その出資に係る金銭の全額を払い込み、

又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、

発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために

必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。」

 

すなわちこの条文では、出資した財産を会社が自由に使えるよう「提供しなければならない」

と定めていますが、登記や登録については行うことを「妨げない」と規定しています。

 

これだと登記登録についてはしてもしなくてもどっちでもいいように読み取れますね。

しかし現物出資する財産として定款に記載し、公証人役場で認証を受けたものについては

特段の事情がない限り、会社設立後に遅滞なく名義変更や所有権移転の手続きを行うべきと考えます。

 

さらに、現物出資のメリットとして、減価償却により経費計上できると先に記載しました。

これを税務署に認めてもらうためには、その財産を会社が実際に使用していることはもちろんですが、

登記登録をきちんと会社に移しているということも重要な判断材料です。