それではあらためて、重畳的債務引受はどのような仕組みでしょうか。
重畳的債務引受とは、ある人物の借入金を、別の人物が共同して返済することです。
この場合、「ある人物」とは法人成り前の個人、「別の人物」とは新設法人ということになります。
住宅を夫婦共同で購入して、住宅ローンも共同で返済する「連帯債務」という仕組みがありますが、
ほぼ似たようなものです。
金融機関は確実な返済を受けるために、元の債務者である個人と、新たな事業主体である法人と、
両者に協力して返済を求めるわけです。
ところで、債務引受には重畳的債務引受の他に、免責的債務引受という手法もあります。
両者の違いは以下の通りです。
・重畳的債務引受
→法人成り前の個人と新設法人が共に債務者となる。
・免責的債務引受
→債務者は新設法人のみ、法人成り前の個人は責任を負わない。
但し、法人成りの債務引受では、ほぼ全件が重畳的債務引受となります。