発行可能株式総数とは

会社設立において事前に決めておかなければならない重要項目に資本金の額、およびその株式数があります。

例えば資本金の額を100万円として、一株を50,000円とするならば、発行される株式数は自動的に20株と決まりますね。

 

ここまでは多くの方がご存知なのですが、会社設立ではもう一つ「発行可能株式総数」も決めておかなければならないことはご存知でしょうか。

発行可能株式総数とは文字通り、今後どれだけ株式を増やせるか、すなわち増資ができるかという限界数値です。

例えば上記の例(一株50,000円・20株発行・資本金100万円)で、発行可能株式総数を200株としておけば1,000万円まで、2,000株としておけば1億円まで、この会社は増資することができるわけです。

 

一般的な中小企業(非公開会社=株式譲渡制限会社)では、この発行可能株式総数に制限はありません。何株に設定しても自由です。

一方、公開会社では発行可能株式総数は設立時発行済株式の4倍以下と定められています。上記の例がもし公開会社であれば、80株が限度になるということですね。

発行可能株式総数を定める理由

さて、会社設立ではどうして発行可能株式総数を事前に定める必要があるのでしょうか。

 

会社は様々な場面で、追加の資金を必要とすることが多くあります。

方法として考えられるのが借入、社債発行、増資などです。

 

しかし、増資についてあまり無制限に行えば、他の第三者が多数の株式を取得することにより、既存株主の持ち株比率が低下してその発言権は小さくなってしまう可能性が考えられます。

 

ここで事前に発行可能株式総数が定められていれば、発行済株式数と見比べることで今後どれだけ株式が発行される可能性があるのか、自分の発言権が小さくなる可能性があるのか、前もって知ることができるというわけです。

つまり発行可能株式総数を定めておく理由は、既存株主を保護する意味合いが強いということですね。

発行可能株式総数の決め方

それでは実際の会社設立において、発行可能株式総数はどのように決めれば良いでしょうか。

結論としては特別な事情がない限り、当初会社設立時に発行する株式の10倍としておけばよいでしょう。

すなわち一株50,000円・20株発行・資本金100万円の会社設立なら、発行可能株式総数は200株にしておけば良いということです。

実は一般的な会社設立では、以下の理由から発行可能株式総数に神経質になる必要はありません。

 

理由一:増資はレアケースである。

 

現実問題として、中小企業で増資を行うことはめったにありません。

税制上、資本金が一定額を超えると税負担が重くなるなどの理由があるためです。

中小企業の資金調達はほとんどの場合、増資ではなく借入となります。

増資をしないなら、発行可能株式総数には特に意味がありません。

 

理由二:第三者株主はレアケースである。

 

中小企業では社長が全株を保有する一人オーナー、もしくはご家族ご親族に少しだけ株式を持たせるというケースが圧倒的です。

また、万一増資をする場合でも、その引き受けは第三者ではなく、社長ご自身が引受されることが多いでしょう。

発行可能株式総数は基本的に既存株主を保護するための制度ですが、株主が常に一人であるなら、やはり意味がないことになります。

 

理由三:発行可能株式総数も後から変更できる。

 

発行可能株式総数自体、株主総会の特別決議で簡単に変更登記することができます(登録免許税3万円がかかりますが)。

ほとんどの中小企業は一人オーナーですから変更=特別決議は別に難しいことではありません。会社設立時に決めた発行可能株式総数をいつまでも守る必要はないのです。

 

 

以上、発行可能株式総数にはそれほど悩む必要はないこと、基本的には会社設立時の発行済株式の10倍で良いことをお伝えしてきましたが、もちろんこれは特殊事情がない場合です。

 

例えば何らかの理由(多額の設備投資など)で増資が予想される場合、特にその引き受けが第三者になる場合、発行可能株式総数について慎重な検討が必要であることは言うまでもありません。

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