外国人の会社設立

当事務所においても年間に数件、外国人から会社設立のお問合せをいただきます。

事業内容としてはやはり貿易関係のお仕事が多いのですが、

それに加えて通訳・翻訳・母国企業の日本進出支援や日本語サイト作成支援など、

その活動は多岐にわたります。

私の知る範囲では皆さんハングリーで語学に堪能(母国語、日本語、英語は話せる)、

経営者として成功すること間違いなしと思われます。

 

外国人の会社設立自体は日本人が行う場合と比べて、手続きに大きな違いはありません。

定款認証〜資本金払込み〜登記申請という流れはそのままです。

外国人の会社設立に特有の注意点を二つ挙げておきましょう。

@取締役の住所

代表取締役は日本に住所を有することが必要になります。

新会社法では一人取締役での会社設立が増えていますが、その場合はもちろん

その一人取締役が日本に住所を有する必要があります。

A印鑑証明

日本人の場合と同様、発起人(株主)・取締役に就任される外国人の印鑑証明が必要です。

日本に滞在して外国人登録、実印登録をしている外国人については問題ありませんが、

国外在住の外国人を株主・取締役とする場合はどうなるのでしょうか?

この場合は会社設立の関係書類に同人のサインをしてもらい、サイン証明書を添付して

もらいます。

サイン証明書とは、本国の公的機関にサインを証明してもらった書類です。

 

ところで外国人の会社設立についてはさらに重要な注意点があります。在留資格です。

→会社設立の基礎知識へ戻る

在留資格

外国人の会社設立については、「会社設立」と、その後の「取締役としての活動」を

分けて考える必要があります。

会社設立自体は在留資格の種類にかかわらず、ほとんど支障ないと言って良いでしょう。

問題となるのは(代表)取締役としての活動です。

「帰化」(日本国籍を取得)されている方、および「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」

「定住者」については問題なく日本国内で活動することが可能です。

しかし「人文知識・国際業務」「企業内転勤」「技術」「技能」といった就労ビザ、

あるいは「留学」ビザで入国されている方は日本国内で(代表)取締役として活動することはできません。

(代表)取締役として会社の経営を行うためには「投資・経営」というビザが必要になるのです。

ところがこの「投資・経営」ビザの取得は相当の困難が伴います。

「投資・経営」のビザへの変更が入国管理局に認められず、会社経営が違法行為になってしまい、

よくて営業停止、最悪の場合は国外への強制退去処分になってしまう可能性すらあるのです。

→会社設立の基礎知識へ戻る

投資・経営ビザ

投資・経営ビザの取得のためには最低でも以下2つの要件を満たす必要があります。

@事業を営むための事業所が日本国内に確保されていること。

A経営者以外に、2人以上の日本人または日本永住者を雇用すること。

なお、Aについては2人以上の雇用に代えて、500万円以上の初期投資でも

認められるケースがあるようです。

 

必要書類はおおよそ以下の通りです。

@事業計画書

A会社の履歴事項全部証明書

B従業員数・賃金に関する資料(従業員の住民票や賃金台帳など)

C事業所に関する資料(賃貸借契約書など)

 

しかし投資・経営ビザは条件を満たし、書類を準備すれば確実に取得できるものではありません。

条件を満たした上で、その会社の適法性・安定性・継続性を総合的に判断するものです。

投資・経営ビザは有用性の高いビザですが、会社設立を行い、事務所・店舗を整え、

従業員を雇用してから申請する必要があるにも関わらず、不許可の可能性が高く、

不許可になればすべてが無駄になってしまうというたいへんリスクの高いビザと言えます。

 

以上から、誠に申し訳ございませんが当事務所では現在、外国人の会社設立については

「帰化」「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」に該当される方限定にて

承っておりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

→会社設立の基礎知識へ戻る

その他の備忘

取締役登記は本名か?通称名か?

 

1、堺区役所市民課への確認事項〜外国人の個人実印登録について(永住許可のある人)〜

 

2012年までの外国人登録制度は本名+通称名での登録が一般的でした。

外国人が個人の実印登録を行う場合も印鑑証明には両方が記載され、印鑑の文字はどちらかを選ぶことが可能でした。

 

2012年に外国人登録制度が廃止されて在留カードが導入されます。

在留カードは本名のみの記載です。

但し、外国人住民に係る住民票の記載事項の特例により、通称名が住民票の記載事項として登録できるようになっています。

(外国人登録から移行された方は、外国人登録での通称名が自動的に記載されます)

住民票に通称名を登録しておけば、印鑑証明においても今までとおり本名+通称名の記載となるようです。

 

〜代理人による個人実印登録について(本人の語学能力等の事情)〜

代理人が 委任状・代理人の本人証明・登録する印鑑 を持参する。

本人住所に通知書が届くのでそれに押印し、通知書・本人の身分証明・代理人の

身分証明を持参すると印鑑カードを受け取りできる。

 

2、司法書士事務所への確認事項

・登記上の代表者名は本名または通称名のどちらか一方を選択することになる。

したがって印影は選択する方に合わせる方が望ましい。

・全部事項証明書にも選択したほうの名前でしか記載されない。

本名+通称名で記載することはできない。

・資本金払い込み通帳は本名を選択するなら本名で、通称を選択するなら通称で要作成。

・本名の姓+通称名の名などたすきがけは不可。

 

3、りそな銀行への確認事項

・外国人の口座作成は本名か通称かどちらかを選んで作成する。

→会社設立の基礎知識へ戻る

▲このページのトップに戻る