二ヵ所給与と税金

会社設立では時々、次のようなケースが出てくることがあります。

「すでに会社を経営されている方が、新たにもう一社会社を設立される」

「会社員として勤務されている方が、勤務を続けながら副業のための会社を設立される」

 

この場合、会社設立された方は既存の会社から役員報酬あるいは給料をもらいながら、新たに設立した会社からも給料をもらうということになるのです。

このようなケースを実務上、「二ヶ所給与」と呼びます。

二ヶ所給与ではどのような手続きが必要となるのか、どのような点に注意しなければならないのか、所得税、住民税、社会保険のそれぞれから確認しておく必要があります。

 

ここではまず所得税と住民税について確認しましょう。

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所得税について

二社(もしくは三社以上)から給料の支給を受ける人はまず、年の初めにどちらの給与をメイン(甲欄給与といいます)として、もう一方をサブ(乙欄給与といいます)とするか決めなければなりません。

 

一般的には金額の大きいほうを甲欄給与としますが、特に決まりがあるわけではありません。

年の途中で会社設立した場合、その年は以前からの勤務先を甲欄給与にすると良いでしょう。

ちなみにどちらを甲欄としても確定申告(後述)による精算で、税金の損得は発生しませんのでそれほど悩む必要はないと思われます。

 

メインとする給与(甲欄給与といいます)の側では、会社に対して扶養家族を記載した扶養控除等異動申告書という用紙を提出しておきます。

一方、サブの給与(乙欄給与といいます)の側では、扶養控除等異動申告書を記載する必要はありません。

 

毎月の給料(新会社では役員報酬)から天引きする源泉所得税が甲欄給与と乙欄給与で異なります。

お手元に源泉徴収税額表がある方はご覧下さい。

甲欄給与では支給金額と扶養家族数により天引きする所得税の金額が決まります。

一方、乙欄給与では扶養家族の人数に関係なく、給料に3.063%(平成28年現在)の税率を乗じて所得税を求めることになっているのです。

 

12月の給料・賞与の支給が終われば年末調整を行いますが、この年末調整は甲欄の会社でのみ行います。

従って生命保険料控除の控除証明書、住宅ローン控除の残高証明書などは甲欄の会社に提出して下さい。

 

そして最後に注意しなければならないのが確定申告です。

通常、給与所得者の所得税は年末調整だけで精算が完了して確定申告を行う義務はないのですが、二ヶ所給与では乙欄給与が精算からもれてしまうため、あらためて乙欄給与を含めた確定申告を行う必要があるのです。

特に会社設立初年度はバタバタしているうちにこの確定申告を忘れてしまうことが多いので十分注意するようにして下さい。

 

二ヶ所給与者の確定申告自体は、必要書類が甲欄会社の源泉徴収票+乙欄会社の源泉徴収票だけという簡単なものです。

その他、確定申告により所得税が還付になることもありますので、還付先口座の確認のため本人名義の通帳またはキャッシュカードがあると良いでしょう。

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住民税について

住民税は原則として甲欄の会社から全額を天引きします。

上述のように所得税は甲欄、乙欄の両方から天引きされますが、住民税は両方の給料を合計して算出された税額をすべて甲欄側の給料から天引きするということです。

ただ住民税は前年の給料に対して課税されますので、合算した住民税が天引きされ始めるのは会社設立した翌年の6月からということになります。

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