合同会社とは(2019年3月改訂)

2006年にスタートした新会社法では有限会社制度が廃止され、現在では会社設立と言えば、すなわち株式会社設立というイメージが定着しつつあります。

しかし、その新会社法において合同会社(LLC)という制度も創設されたことはご存知でしょうか。

米国ではすでに以前からこの制度が普及しており、ベンチャーや共同研究などに活用されています。

米国の若者にとってはLLCは会社設立の大きな選択肢の一つです。

合同会社とは出資者全員が有限責任社員だけで構成される持ち分会社の一形態を言います。

しかし、それだけでは何のことか良くわかりませんね。

合同会社と株式会社、何がどのように異なるのか、もう少し具体的にメリットデメリットを確認してみましょう。

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合同会社設立のメリット

合同会社の最大のメリットは、「会社設立費用が安い」という点にあります。

 

株式会社設立の場合、役所に対して支払う費用は定款認証費用が5万円、登録免許税が15万円の合計20万円ですが、合同会社設立の場合はそもそも定款認証手続きが不要であり、登録免許税も6万円で済みますので、比較して14万円の費用を節約することが可能です。

(定款認証手続きが不要のため、設立に要する日数も合同会社のほうが数日短くなります)

 

合同会社のメリットとして、他には以下の点がよく挙げられます。

・出資者は出資の範囲内で責任を負う(有限責任)。

・出資者と経営者が同一であるため迅速な意思決定が可能。

・一人でも設立可能。

・決算公告の義務がない。

・取締役の任期がない。

・配当が出資割合に関わらず自由にできる。

 

しかし、これらは法的に、あるいは実質的に、株式会社でも実現可能です。

 

・出資者は出資の範囲内で責任を負う(有限責任)

株式会社の株主も同じく有限責任です。

 

・出資者と経営者が同一であるため迅速な意思決定が可能

・一人でも設立可能

税理士事務所が取扱う会社設立案件の大半は、起業家一人が株主兼代表取締役として会社設立されるものです。

 

・決算公告の義務がない。

中小企業で実際に決算公告を行っている会社は...?

 

・取締役の任期がない。

株式会社でも取締役任期は最長10年にできるので、事務負担・費用負担は小さくなります。

最近の株式会社設立ではほとんどの方が任期10年を選択されます。

 

・配当が出資割合に関わらず自由にできる。

中小企業では経費として認められない「配当」という資金流出を通常は行いません。

株主兼取締役に対しては役員報酬の増減で対応するケースがほとんどです。

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合同会社設立のデメリット

反対に合同会社設立のデメリットは何が挙げられるでしょうか。

 

最大のデメリットは「株式会社と比較して知名度が低い」「低コストの会社というイメージ」です。

これらは事業運営上、ハンディとなるかもしれません。

例えばある取引で株式会社と合同会社が競合している場合、条件面に大差がなければ、発注元はその取引を株式会社のほうに発注するのではないでしょうか。

なぜなら発注元の担当者はよく知らない「合同会社」よりも、自分たちと同じ組織形態である「株式会社」のほうが何となく無難、安全と思うからです。

これは従業員の採用活動に関しても同じことが言えると思います。

求職者は知名度が低く、株式会社に比較して小規模なイメージのある合同会社に応募することはためらうことでしょう。

株式会社に負けず劣らず成長している合同会社であっても、やはり社名から受けるイメージは大きなものがあります。

 

もう一つ、合同会社の社員(出資者)の議決権は平等に一人一票与えられるという点もデメリットとして挙げておきます(株式会社は出資金額に議決権が比例する)。

社員一名であれば問題ありませんが、複数の社員がいる場合は社員間で対立が生ずると意思決定が滞ります。

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合同会社についてまとめ

合同会社設立は、増加傾向にあります。

2008年の株式会社設立は86,222件に対して合同会社設立は5,413件、これが2016年になると株式会社設立が91,100件に対して合同会社設立は23,627件です。

もっとも、合同会社を設立された方全てが、前述のメリットデメリットをよく理解して設立されたわけではなさそうです。

費用の安さに惹かれて設立したものの、その後イメージ面で苦労されているケースが多いと聞きます。

 

それでは、どのような場合に合同会社設立を選択肢として検討すれば良いでしょうか。

 

まず、一般消費者向けのサービス(例えば飲食店など)を運営する会社の場合です。

このようなサービスでは、会社名よりもサービス名・店名を前面に出します。

お客様にとっても、運営元が株式会社か合同会社か、あまり気にされることは少ないでしょう。

 

もう一つは事務管理・税金や社会保険管理を主な目的として会社設立を行う場合です。

例としては個人で保有する不動産の管理会社などを設立するようなケースですが、このような会社であれば新規の取引先を開拓する必要もなく、従業員の募集も行う必要がなく、対外的なイメージを気にする必要はありません。

コスト面を優先して考えればよいので、合同会社はお勧めできます。

 

その他、本場米国で活用されているように何らかの共同研究を行う場合や市場調査段階であれば合同会社設立も良いかも知れません。

実は、合同会社は設立した後に株式会社へ組織変更を行うことができます。

共同研究段階ではとりあえず合同会社を設立して、ビジネスとして展開できそうであれば株式会社に組織変更するという方法も考えられるでしょう。

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